コーヒーの歴史と製法

コーヒーの栽培方法【気候・土・高度・日本の北限とは】

コーヒーは世界60以上の国で生産されますが、そのほとんどが「コーヒー・ベルト」(コーヒー・ゾーン)と呼ばれるエリアで生産されます。コーヒー・ベルトとは、具体的には赤道を中心に北緯・南緯各約25度の範囲のエリア(熱帯または亜熱帯)のことです。とはいえ、商業用に栽培されているアラビカ種とカネフォラ種の2種では、好む気象条件が違うのです。

目次

霜の気候に弱いコーヒーの木

熱帯性植物であるコーヒーの木は霜に弱いという性質があります。過去にたったひと晩で霜被害で100万本ものコーヒーの木が枯れた例もあるほどです。そのためコーヒーは暖かい地域で栽培され、主に「コーヒーベルト」と呼ばれる地域(赤道を中心とした南緯25度~北緯25度の間)に産地が集中しています。

コーヒーと高度

コーヒーの品質や味と高度の関連で言うと、高度の高いところで収穫されたコーヒーのほうが酸味が強いということになります。サードウェーブ流行語は、ほどよい酸味を持つコーヒーが人気となる傾向があり、高い値がつくことが多くなっています。とはいえ、赤道下でも高所になれば気温は下がり、雪が降るエリアや霜が降りるエリアはあまりに寒いため、コーヒー栽培には向きません。一般には高度2500メートルまでが適地といわれています。

品種により好む土や気温の条件は変わる

このように、コーヒーは限られた環境でしか栽培ができないということになります。また、気温が高ければいいというわけでもなく、適度な気温、湿度、日照、風、雨量、土壌などさまざまな条件が、組み合わさってコーヒー栽培が可能となるのです。

とはいえ、商業用に栽培されるコーヒーにはアラビカ種とカネフォラ種があり、2種の分布域は微妙に変わります。

コーヒーは熱いところで栽培されるというイメージが強いですが、寒さに弱いのはカネフォラ種だけ。カネフォラ種は寒さに弱いだけでなく、湿度も高いほどよいといわれています。また、高度としては低地を好みます。

一方のアラビカ種は、熱い赤道下でも、比較的冷涼な高地で栽培されることがほとんどです。熱帯性植物なのに暑さに弱いのです。コーヒーが発生したアビシニア(現・エチオピア)には現在もアラビカ種のコーヒーの木が自生していますが、いずれも高地で比較的冷涼な地域です。また、気象や降雨量、土壌などのが条件がいずれもアラビカ種の成育に適しています。

カネフォラ種は、アラビカ種に比べて乾燥に弱いという弱点がありますが、比較的どのような土壌でも育てられるため、育てやすいといえます。そのため、アラビカ種の栽培に向いていない土壌を持つ地域では、カネフォラ種の木の幹にアラビカ種を接ぎ木して栽培することもあるそうです。

日本にコーヒー栽培の北限がある

日本でコーヒーといえば「消費するもの」というイメージが強く、日本でコーヒーは栽培できないと長く思われていましたが、明治時代初期には小笠原諸島(東京都に属する離島)でジャワより持ち帰ったコーヒーを試験的に栽培されたこともあります(現在もごく少量を生産中)。

また、沖縄でも商業的にコーヒー栽培がなされており、最近は利根川あたりでコーヒー栽培に取り組む人がいると聞きます。地球温暖化により、日本でも本格的にコーヒー栽培ができる時代がくるのでしょうか……。

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