カフェ・喫茶店

伝説の『クラシック』思い出語りと名曲喫茶の話 【前編】

    JR中野駅から北に延びる商店街からちょっとわき道に入ったところに、名曲喫茶『クラシック』はありました。

    地方から進学のために上京した学生が多く住む中野などの中央線の街には、中野駅は『クラシック』、高円寺駅は『ネルケン』、阿佐ヶ谷駅は『ヴィオロン』、荻窪駅は『ミニオン』……と、各駅ごとに名曲喫茶があります。

    名曲喫茶は、日本ならではの喫茶カルチャーといえます。『クラシック』のという伝説の名店の歴史を軸に、そんな喫茶カルチャーを見ていきましょう。

    クラシックという伝説の店

    これらの中でも、クラシックは老舗中の老舗。創業は昭和5年までさかのぼります。作家の五木寛之氏は昭和28年にはじめてクラシックを訪れ、そのようすを名作『風に吹かれて』という作品の中で記しています。「二階席は歩く度にきしみ」という表現があるぐらいだから、その時代からもうすでに老舗の風格が漂っていたのですね。平成17年に閉店となったとき、多くの人が悲しみました。

    筆者も、中央線沿線に住んでいたころは、クラシックに何度も行きました。建物は傾きテーブルも傾き、コーヒーもミルクも水面が斜めになってこぼれそうでした。また、ミルクがマヨネーズのキャップに入って出てきたこともありました。それでも、ほかでは体験できない独特の雰囲気と、そういう空間でレコード演奏によるクラシック曲を聴くという得難い体験は一生忘れないと思います。外観も内装もボロボロでしたが、多くのお客でにぎわっていました。

    中野クラシックはリクエスト方法が個性的でした。具体的には店内の黒板にリクエストを書くと、順番にかけられるという内容。希望の曲がかかったときは、なんともいえない感動が訪れるものでした。

    名曲喫茶の歴史

    さて、名曲喫茶とはどのようなものでしょうか? 歴史をひも解いてみると、「レコードが高価だった時代に、クラシック音楽を立派なスピーカーで流す喫茶店が人気になった」という説が有力のようです。同様の背景から、ジャズだけを流す「ジャズ喫茶」という業態も流行したようです。いまは風前の灯という感じですが、学生街にはポツポツと残っているところがあります。

    ▲神田の路地裏にたたずむ『ショパン』のコースターとマッチ

    クラシックがお隣、高円寺で復活

    クラシックが本当にすごいのは、閉店後約2年でお隣の高円寺で復活したことです。それもただ、漫然と引き継いだのではなく、クラシック時代の従業員が内装や備品、レコードなどほとんどすべてを見事に復元したことです。ちなみに店名は『ルネッサンス』といいますが、その由来は「中野クラシックのマスターが、空襲で焼け出される前までは、高円寺で『ルネッサンス』という名前の名曲喫茶をやっていた」エピソードにちなみます。ここまで完璧な復活劇に、長年通った常連客も驚き、歓喜の声をあげました。

    名曲喫茶の使い方・つきあい方

    クラシックのような繁盛店、伝説レベルの名店でもさまざまな事情から突然閉店してしまうことがあります。そうなっては手遅れなので、喫茶店ファンは「行きたい店にはすぐに行く!」です。そして定期的に通うことです。なにしろ、名曲喫茶に行けば、抜群の音響システムでクラシックが聴けるのです。コーヒー一杯でそんな体験ができるなんてすばらしいことだと思いませんか?

    ▲大正時代築の建物で営業中の国分寺『でんえん』のマッチ

    次の【後編】では、行っておくべき東京の老舗名曲喫茶をご紹介します!

    ※メインビジュアルはイメージです。
    ※マッチの写真は筆者私物です(写真の二次使用等を禁止します)

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